なんで私が、と思いつつも文句は言わずに片付ける。
確かにパンが散乱しワインの臭いで酷い有様になった現場に居たのは私だけなのだ。
状況的に考えれば私が犯人以外の何者でもない訳だけども……
余り納得はしてない表情でブラシを動かす。
ジャーコ、ジャーコ。
ジャーコ、ジャーコ。
一応、これでも掃除は仕上げに入っている。
仕上げに入ってるのだが……
ジャーコ、ジャーコ。
「これでフィルン、納得すれば良いのだけれど」
食品を扱う彼女だからこそ衛生面などには特に気を配ってる、
こと掃除になると彼女のチェックは厳しい物になる。
ファイは、なるべく彼女に借りを作らないようにしている。
何時あの謎のパンの試食係を頼まれるか気が気が出ない。
幾ら不死に近い存在とは言え、あのトンデモ料理を食べさせられるのはごめんだ。
どうせ食べるなら出来るなら美味しい、そうでなくても普通の味の物が良い。
ジャーコ、ジャーコ。
……この辺にしておこう。多分問題ない、筈
「フィルンー?掃除終わったわよー!
あと少し出かけてくるわ、遅くなるかもしれないから、
色々先に済ませて構わないわよー」そう言い残し、外へ出る。
森の中で見つけた大きな岩場の上で寝そべる。岩はひんやりして少し冷たい
「しかし、最近は妙に忙しい気がするわね」
色々と思い返す、夜の風が少しひんやりする。
闘技大会。たまには、と思ってアスタリスクを抜けだしてみた。
それがまぁ、あんな事になって……
……
…………
そして、だんだんと思い出す。少し前のこと。
「え、あ、も、もしかしてあの風呂場の原因はやっぱり私だったの?」
記憶が戻りつつある。
フィルンに教えた感情、その時は特に教えるつもりではなかった恐怖。
そしてブルと震える、悪寒。
……このまま戻ったら、何かイケナイコトガオキルキガスル
悪い予感がしたので、もう暫くここで休むことにした。
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